5月チャペルコンサートを終えて 

2022.5
ソプラノ中嶋康子さんと共に
心に響くアリアと心揺さぶる交響曲

久々の大編成のコンサート‼︎
メンバーの意気込みが感じられる瞬間でした。

歌劇「魔笛」序曲で幕開けし、続いて、関室メンバーでもあるソプラノ中嶋康子さんがモーツァルトのコンサート アリアを3曲続けて堂々と歌い上げ、大いに会場を沸かせました。技巧的なアリアを立て続けに歌うことは、とても大変なことだそうで、中嶋さんの挑戦とも思えるプログラムと見事な歌唱力で心に響く演奏でした。

この3曲のアリアは、モーツァルトの作曲年齢や場所が全て異なります。中嶋さんの選曲に大変興味深かったので、ここに少し挙げさせていただきます。

アリア「あなたは今は忠実ね」KV 217
19歳、ザルツブルクにて作曲。
(同年の作品にヴァイオリン協奏曲第2〜5番があります)
華やかなコロラトゥーラ技巧を駆使して歌われるのが特徴です。

レチタティーヴォ「哀れな私、ここはどこ!」
アリア「ああ、語っているのは私ではない」KV 369
25歳、ミュンヘンにて作曲。
(同年の作品にオーボエ四重奏曲があります)
ミュンヘンの選帝侯カール・テオドールの当時の愛人であったバウムガルテン伯爵夫人のために書かれたと言われています。

アリア「大いなる魂と高貴な心」変ロ長調 KV 578
33歳、ウィーンにて作曲。
(同年の作品にクラリネット五重奏曲があります)
当時、デビューしたての19才のヴィルヌーヴ嬢がこのアリアを歌ったそうです。典型的な喜劇(ブッファ)が展開する中、トタロ男爵の許嫁ラウラが気品高く、決然と歌い上げるそのアリアは、人の心を惹きつけます。

後半は、指揮の河野正孝氏によるベートーヴェン「運命」!!!!
熱い魂の籠った演奏で、聴衆を惹きつけました。それは、それぞれのコロナ禍に置かれた「運命」を演奏で吹き飛ばすかのように、演奏する喜びを一心に見い出す団員の想いが交差したものでした。

ここで、リピートマーク(繰り返し記号)事情について、少し触れさせていただきます。 一般的には各楽章において、前半は楽譜通り繰り返し(もしくは繰り返さず)、後半は省くのが主流です。
しかし、今回は「メンバーの誰も経験したことのない、全楽章 楽譜通りの繰り返し有り」を初体験!!しました。
なおかつ、管楽器は指定の編成に対して、弦楽器は常識の半分以下の人数(教会のスペースのことがあり)で、振り絞って弾き捲り、、、終わったら放心状態、、、。
放心状態とは言え、演奏終了後の控室では「繰り返しで初めて演奏した箇所があったけれど凄く良かった!」と、良い汗流したメンバー全員の顔が光輝いてました。

 

Farbe庵